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バッカス カメオ

作品名 バッカス カメオ
制作年 1810年頃
制作国 未詳
制作者 ニコラ・モレッリ
素材 アゲート

作品説明

積層アゲートによるバッカスのカメオは、巻き髪にブドウの実と葉の輪飾りを冠し、それを結んだリボンが肩にまで垂れている。動物の皮をまとい、1本の肢が首の左側に濃い色の毛皮が右側に見られ、左向きの横顔をしている。肩帯の上にローマ字体の大文字でMORELLIとサインされており、ニコラ・モレッリ(1771-1838)を指している。

解説

モレッリは積層アゲートの5つの層を利用して、彫刻と絵画のアートを結びつけた宝石彫刻の傑作を生みだした。洗練されたピュアホワイトの横顔と首、肩、動物の肢はダークグレイの地に対照され、栗色の巻き髪とのコントラストをつくっている。その髪は、ブドウの樹の茎と葉を際立たせ、耳を覆うほぼ透明なブドウの房を映し出している。この石のサイズとこれら様々に発色する層の深さと広がりの不確実さは、モレッリに巨大な課題を与えたが、彼は極めて成功裏に対処したために、それらの層はモレッリのために自然が配置したかのようである。彼はボナパルト一族のメンバーの肖像カメオを製作した(L.ピルツィオ・ビロリ著『ニコラ・モレッリ、ハードストーンの彫刻家、ローマ市立博物館紀要』VI(1992年)p.63-76参照)ことから、ナポレオンの妹のカロリーヌとその夫で1808年から14年までナポリを支配するとともに皇帝のポリシーに対応して積極的に芸術の庇護をしたヨアキム・ミュラの知己を得た。モレッリは肖像作家であったのみならず神話的テーマもまた専門とし、ワインの神バッカスを幾分ともなよなよしい、思索に耽った、夢の中にいるかのような青年として表現した。この理想化された美の彫像は、記念碑的彫刻像の雄大さを具えており、ローマの伝統的な宝石彫刻の最終盛期を代表するものとなっている。

ダイアナ スカリスブリック

来歴

ナポリとシチリアの王妃カロリーヌ・ミュラ、ムーア一族への贈り物、以後その子孫による相続。