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黒人戦士の両面カメオ

作品名 黒人戦士の両面カメオ
制作年 16世紀中葉
制作国 ローマ、イタリア
制作者 未詳
素材 アゲート、カルセドニー、ゴールド

作品説明

ゴールド・ペンダントのぎざぎざを付けたオーヴァルの縁飾りは、サードによる黒人戦士の胸像カメオを囲んでいる。敵に立ちはだかるかのようににらみつけ、斜め左向き横顔を見せている。裏側には一頭の馬のカメオがあり、枝を広げた樹の前をまっすぐに歩く姿で表されている。両方のカメオともに、地のまま残された縁の内側に彫られている。

解説

黒人男性と女性たちのちじれた髪と厚ぼったい唇、漆黒の肌はルネサンスの宝石彫刻師たちにインスピレーションを与え、ここにあるように、積層アゲートの異なった層を利用して彼らを活き活きと表現させた。アフリカの戦士の軍事上のパワーは同じく、その時代の文学的テーマでもあった。特に名高いウィリアム・シェイクスピアの『オテロ』(1604年)は、ヴェネツィア軍を率いてトルコに勝利した。これに追加する興味は裏側のカメオによって与えられているが、それは最初の所有者の紋章のバッヂ(旗印)という可能性もあるからである。これはもうひとつの両面カメオで、表にチューダー朝の寵臣サー・クリストファー・ハットンの肖像を表わし、裏側に彼の紋章のバッヂである鹿が表されたものからの推定である。J. ケイガン著『イギリスにおける古代から現代までの宝石彫刻』(2010年)54ページ、fig 2.31 aとbを参照のこと。エルミタージュのコレクションから、J. ケーガンの『西ヨーロッパのカメオ』(1973年)は、表側にアウグストゥス皇帝のカメオを裏側にもうひとつの黒人のカメオを表したものを掲載している。no. 41のaおよびbである。

ダイアナ スカリスブリック