作品名 | スワン・リング |
制作年 | 1898-99年頃 |
制作国 | フランス |
制作者 | ルネ・ラリック |
素材 | ゴールド、エナメル |
サイズ | L15mm, W22mm, D22mm |
ゴールドのフープ・リングは、装飾部分にエナメルで水に浮かぶ4羽のスワンがそれぞれ違う格好で描かれている。ルネ・ラリック製作、パリ製、1898-1899年。
1897年から1900年にかけて、クジャクやニワトリ、ハト、スワンなどの鳥は、アール・ヌーヴォー・スタイルのジュエリーを主宰する天才ルネ・ラリック(1860-1945)の自然主義の表現様式の中で非常に特別な位置を占めていた。S. バルテンの『ルネ・ラリック1898-1910:ジュエリーとオブジェ・ダール』(ミュンヘン刊、1977年)86ページによれば、「彼は当時の絵画やグラフィックアートにおけるように、それ自体の特別な要素として、気高いスワンと水を結び付けた」。ここでは、彼はミニアチュールとして水面を滑ってゆく白鳥の優雅な動きを描き写すことに成功しているが、これはペンダントに描かれていたもので、その中の1点は英国王エドワード7世の妃であるアレキサンドラ王妃によって着用された。この短い期間に限って、彼はこのようなフープ・リングを製作し、表面をフリース(帯状装飾)として扱ったが、1900年からは彼のデザインはフープとショルダー、ベゼルに分かれ、通常はそこに石をセットしたものに限定されている。この稀少な残存品は、バルテンの上述の書のno.1298にそのデザイン画no.1298aとともに収録されている。ラリック作のリングはアヴァンギャルドなファッションの男性の印であったことから、このスワン・リングはニュー・スタイルの熱狂的な支持者の男性、たとえば詩人のロベール・ド・モンテスキュー伯爵といった人物によって着用されたとも考えられる。