作品名 | セクメトリング |
制作年 | 紀元前6世紀 |
制作国 | エジプト |
素材 | ゴールド |
ゴールド・リングのスターラップ型(鐙型)のフープはショルダーの位置で幅を広げ、カルトゥーシュ型のベゼルを支えており、そこにはライオンの頭をした女神セクメトの像が刻まれている。彼女は牝牛の頭をした女神ハトルの角を被り、右に向かって歩みつつある。一方の手に王笏を、もう一方の手にアンク(生命を表わす神聖文字で、上部が輪になった十字架の形)のしるしを保持している。古代エジプト製、
「強大な」という意味の名前を持つ戦争の女神セクメトの神としての権威は携行する王笏によって示され、またアンクは生命力を象徴している。古代エジプト人たちはあまりにも宗教心に浸かっていたため、自らが信仰する神々を神殿の壁画や彫刻に描いただけでなく、ここにあるようにジュエリーにも表現した。このリングを着用することによってその所有者は自らを直接このパワフルな女神の庇護の下に置いたが、彼女とその夫プタハ神(メンフィスの氏神である創造の神)崇拝は偉大な都市メンフィスの人々によって幅広く信奉されていた。このリングの年代査定が比較的に後代に当たることは、紀元前3000年までに遡る古代エジプト神々の伝統がその影響を保持していたとともに、アレキサンダー大王の征服よりわずか数百年前の人々に対して超自然的な庇護を提供し続けていたことを示している。