作品名 | 二色のヤナギのヘア・コーム/ティアラ |
制作年 | 1903年頃 |
制作国 | フランス |
制作者 | ルネ・ラリック |
素材 | 角、エナメル、トパーズ、ゴールド |
サイズ | L165mm,W197mm |
フレンチ・アール・ヌーヴォーの動物の角とマザー・オブ・パール、エナメル、トパーズ、イエロー・ゴールドのディアデムはルネ・ラリックによるもので、2本の様式化した垂れるヤナギの枝としてデザインされており、その3列のバゲット・カット・トパーズをセットし、テクスチャーを施したイエロー・ゴールドの幹を支える、3本のプロング(フォーク状の歯)の付いた蝶番式の動物の角のコームからは、2本の彫刻したマザー・オブ・パールの垂れる枝と動物の角による様々な成長段階の尾状花序(細い円筒状の花の集まり)が両サイドへと伸びている。“LALIQUE”とサイン入り。
ジュエリーの新しいスタイルに対する探求においてラリックは、フォーマルなイヴェントにおいて女性たちの頭を飾って、その富と地位を顕示する因習的なティアラに挑戦した。彼がそれに代わるものとして提案したのは、ここでは最もありふれた木であるヤナギにインスピレーションを受けたものである。自然の中にあるように、彼は尾状花序によって仕上げた2本の葉のない枝をその木の樹皮にセットしているので、それらが額の上方に立ち上がり、注意を頭に惹きつけている。ただしダイヤモンドの輝きを通じてではなく、そのモティーフの純粋なオリジナリティによってである。同じく彼の独自のスタイルの典型である点は、安価でどちらかと言えば控えめな素材――マザー・オブ・パール、動物の角、エナメルを施したゴールド――が使用されていることである。3本に分かれた下の透明なコームは、頭頂部にフラットになるように配置して、顔を枠取るアーチ状のオーナメントを支えるように蝶番が付けられている。こうしたヘッド用ジュエリーは人気があり、またラリックが1905年にロンドンのアグニューズで開催された展示会において陳列した9点のうち8点ものコームが動物の角で作られていたことは意味深い。