作品名 | キリスト勲位のインシニヤ |
制作年 | 1780年頃 |
制作国 | ポルトガル |
素材 | ゴールド、ダイヤモンド、シルバー、ルビー |
シルバーとゴールドのキリストの勲位のバッジは、パヴェセッティングされたルビーの取り巻きの中に配されたダイヤモンドクロスが先端のところで広がっており、これを提げたダイヤモンドのボウノットリボンは、ダイヤモンドの涙を流すルビーのハートのところで交わっている。これはイエスキリストの神聖なハートで、エメラルドによる茨の冠で取り巻かれ、小さなダイヤモンドクロスが冠されている。
このキリスト勲位のバッジは、ポルトガルの権威ある位階として1532年に創設されたもので、ローマカトリック信者に限られるとともに王室に捧げられた権威を伴うものであった。
女王マリア1世(1734-1777-1816)の治世を通して、彼女はこれを含む全てのポルトガルの騎士勲位を聖心会の保護下に置き、特別な信心を捧げていた。
ハートが流すこの涙は、人間に向けられた憐みを示唆している。
1727年から大量のダイヤモンドがブラジルのミナスジェイラスで採掘され、リスボンへと輸出されたが、同じくルビーも同地からもたらされたために、2種類の宝石の組み合わせはポルトガルのジュエリーの非常に特徴的なものとなった。