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友情のシール

作品名 友情のシール
制作年 13世紀
制作国 未詳
制作者 未詳
素材 ゴールド、レッドジャスパー

作品説明

ゴールドシールの尖った楕円形のマウントには、レッドジャスパーによるインタリオがセットされており、友情を込めて握り合う2本の手とその周りにロンバルディア体のラテン語の銘が彫られている。その+SUM SINGUM AMORISは、私は愛の印という意味である。マウントの裏側には、銘の頭に記された十字の背後に吊り輪がある。

解説

殆どの人が読み書きの出来なかった12世紀から14世紀にかけて、シールは所有者そのものでありまた署名と等しいものとして、商取引や私信のやり取りに不可欠だった。したがってワックスの上に封蝋(シール)を押す習慣はあらゆる階層に広がるが、それらに施された図柄は人々の様々な関心や社会的地位を反映している。この実例が例外的であるのは、ゴールドで作られていて鉛や銅、シルバーではないということで、さらにローマ時代のオリジナルを模刻した宝石がセットされている点である。2本の右手が信頼を込めて握り合っているモティーフは「デクストラルム・イウンクティオ」といわれ古代ローマ人によって初めて使用され、取引契約上の合意を意味し、それは結婚も同様でリング、シールに使用された。
インタリオだけでなく尖った楕円形のマウントは、それぞれが同時代のものであるという証拠であり、中世における古代アートの復刻を示す稀少な見本となっている。
ドミニク・コロンの『シールの7000年』(大英博物館、1997年)には、ジョン・チェリーの一遍のエッセイが掲載されており(128ページ)、「握り合う手あるいは愛や友情に関連した伝説の図柄を伴うシールは、恐らく手紙に使用されたものであろう」と述べている。このインタリオのレッドジャスパーの選択にも同じく意味があり、色がグリーンもしくはレッドであるかによって護符として珍重されたためで、G・クンツが『貴石の興味深い研究』(ニューヨーク、1913年)の90-91ページで説明されている。

ダイアナ スカリスブリック