用語集

コッホ【ジュエラー/メゾン】

Koch

1872年にロベルト・コッホ(1852-1902)がフランクフルトに開設した工房が基となり、1879年に弟のルイス・コッホ(1862-1930)が加わって創立されたドイツの代表的なジュエリー・メゾン。19世紀末にはバーデンバーデンに、後にはベルリンにも支店が開設されロシア人やスウェーデン人、ポーランド人の顧客たちを惹き付けた。1883年に宮廷御用達のロイヤル・アポイントメントを賜る一方、ロシアの皇族やイタリア国王、ドイツの皇族向けにもジュエリーの製作を行う。1902年、兄の死を受けてルイスがメゾンを引き継ぐとともに、ロベルトの孫のオットー・コッホとヘルマン・ネッターが加わり1920年代に全盛期を謳歌した。ルイス・コッホは妻のアリスとともに、古代から彼らの時代に至る稀少なリング・コレクション、1500点余を遺したことでも有名。1920年にオットーが突然没し1930年代にヘルマン・ネッターも会社を去ると、経営の実権は一族の手を離れ、その後いくども経営者が交代する。第二次大戦ではフランクフルトの本店は破壊され、バーデンバーデンの支店は没収された。1945年にフランクフルトの店が再開され、ジュエリーに加えてシルバーウェアやスイス製の高級時計も扱い、1949年にはバーデンバーデンの支店も再開されたが、1987年最後の経営者によって廃業の断が下った