用語集

ベルペロン、シュザンヌ【ジュエラー/メゾン】

Belperron, Suzanne

フランスのジュエリー・デザイナー、シュザンヌ・ベルペロン(1900-1983)はパリの国立美術学校で学ぶが、そこで有名なジュエラー、ルネ・ボワヴァンの妹のジェルメーヌと出会う。1917年にルネ・ボワヴァンは他界するが、そのメゾンは夫人のジャンヌによって活動が続けられる。彼女は著名なクチュリエであるポール・ポワレの妹でもあった。1921年から1931年にかけて、ベルペロンはそのボワヴァンのメゾンのために働いた。1933年、彼女はボワヴァンを離れてパール商人のベルナール・ヘルツの共同経営者となり、ヘルツの名前を掲げたリュ・ド・シャトーダンのブティックで自ら創造したジュエリーを販売した。彼女のデザインのほぼすべてを名人的職人技で実製作したのは、ダルド・エ・フィスの工房であった。1930年代を通じて、彼女の顧客にはウィンザー公爵夫妻を始めエルザ・スキャパレッリやフランク・シナトラ、フレッド・アステア、小説家のコレットなどが名を連ねた。第二次大戦の間、ヘルツが強制収容所に収容され1943年に他界したため、彼女はメゾンに自分の名前を掲げるが、1945年にベルナールの息子のジャンが戦争から戻るとヘルツ=ベルペロンと名前を変え1974年に引退するまでメゾンでの活動を続けた。引退後も個人的に昔の顧客の注文に応じ、1983年に他界するまでデザインを続けた。彼女のジュエリー・アートの特徴は伝統と手を切ったところにあり、素材とカラーを自由にミックスさせたものであった。ブルー・カルセドニーやスモーキー・アゲートを導入し、ロック・クリスタルの加工に新たな方法を見出し、それらをアメシストと組み合わせた。彼女はインスピレーションをヒトデや貝殻、花と葉といった自然から汲んだが、それらの本質を追求して、自然主義的ではない生気と官能性にあふれる抽象表現を実現した。