ベル・エポックとは19世紀後期から第一次世界大戦勃発までの平和と繁栄の時代を指し、その前半は復古主義と折衷主義が全盛であった。後半の19世紀末から主流のジュエラーたちは18世紀のモティーフへの回帰を顕著にする一方、新興のアーティスト・ジュエラーたちは異国趣味のインスピレーションによるクリエイションに専心する。前者はやがて黄金時代の装飾美術をプラチナで再表現したガーランド・スタイルを創造するが、当時のイギリスはエドワード7世の治世であったことからエドワーディアンとして知られる。特徴的なモティーフの葉や花のガーランドとフェストゥーン、スワッグ、タッセル、リボン・ボウなど、18世紀の壁面装飾や室内装飾から採られている。また後者は、日本美術由来の自然をモティーフとした曲線的、アシメトリーなデザインを特徴とした。ルネ・ラリックが先導したこのムーヴメントこそアール・ヌーヴォーで、1900年のパリ万博で頂点を極めた。