用語集

テスマール【ジュエラー/メゾン】

Thesmar

フランスの画家兼エナメル細工師アンドレ・フェルナン・テスマール(1843-1912)は、テキスタイル・メーカーで教育訓練を受けた後、1860年にパリに出てまずインダストリアル・デザインのアトリエに、次いで舞台装飾のアトリエに就職した。さらにタピスリー・メーカーで、1872年からは大手の貴金属産業で職に就き、1875年のフランス芸術家協会のサロンでエナメラーとしてデビュー。その時の出展作品は国立セーヴル博物館の買い上げとなった。彼は1873年のウィーン万国博覧会に初出展した後、1878年と89年、1900年のパリ万国博覧会に出展してエナメルのマスターとして名声を確立。1888年に初のプリカジュール・エナメルによる製品の展示を行い、1890年代には磁器に施すクロワゾネ・エナメルの新しい技術を開発した。ジュエリーの分野で彼は多くのメゾンとコラボレーションを行ったが、特にヴェヴェールが扱った数多くのオーキッドのペンダントやブローチはテスマールによるものとされている。1893年、彼の功績を称えてレジオンドヌール、シュヴァリエ十字勲章が授与された。