用語集

ラクロッシュ【ジュエラー/メゾン】

Lacloche

1875年にフェルナンドとジュール、レオポルド、ジャックのラクロッシュ4兄弟によってマドリッドに設立された宝石店。ビアリッツとサン・セバスチャン、パリに支店を開き、1920年にはファベルジェのロンドン支店を買収した。ジャポニスムの影響色濃い極めて明瞭なアール・デコ・スタイルの化粧ケースやコンパクト、リップ・スティック・ホルダー、シャトレーヌなどを製作した。エジプトをテーマにした、精緻なディテールのモティーフによる多数のブレスレットやブローチでも知られる。1925年のパリ万国博覧会および1929年の装飾美術展にも出展するが、その最高の作品は1930年にウェストミンスター公爵夫人のために製作した華麗なティアラである。これにマウントされたアルコット・ダイヤモンド(複数)とジョージ4世ダイヤモンドは、1837年にウェストミンスター公爵家が所有元のイギリス王室から購入したものである。このティアラは1959年にサザビーズで売却され、購入したハリー・ウィンストンはアルコットをマウントから外してリカットを施した。かくして、アルコットno.1はヴァン・クリーフ&アーペルによってネックレスにマウントされることとなった。メゾン自体はラクロッシュからラクロッシュ・フレール、第二次大戦後はジャック・ラクロッシュと名を変えるが、1950年代に閉店した。