用語集

ラリック、ルネ【ジュエラー/メゾン】

Lalique, René

フランスの主導的なアール・ヌーヴォー・スタイルのデザイナーにしてジュエラーとして有名なルネ・ラリック(1860-1945)は、後にガラス工芸に転進してその世界でも名を成した。新しいテクニックと高度なオリジナリティあふれるデザインを創造し、ジュエリー史に燦然と輝く存在となっている。彼はルイ・オコックに弟子入りしてキャリアをスタートさせ、さらにパリとロンドンのアート・スクールで学んだ後、オコックを始めカルティエやブシュロンといった一流のメゾンのためにデザインを提供するようになる。1891から1894年にかけて、サラ・ベルナールのためにもジュエリーを製作した。1894年のパリ・サロンにおいて、出展したアール・ヌーヴォー・スタイルのジュエリーが絶賛され、一躍世界に名前を知られる。さらに1900年のパリ万国博覧会での目覚しい成功は王室や貴族階級の間にラリック・ブームを導き、1905年にはプラス・ヴァンドームに店舗をオープンする。そのジュエリーはゴールドとエナメル、素材価値ではなく芸術的効果の高い宝石を組み合わせたもので、デザインには盛んに女性像が採用され、裸体やドレープをまとった姿にチョウやトンボの翅を付けて幻想化された形態でアレンジされた。その他にも自然からのフォルムを強調したテーマ、クジャクやヘビ、昆虫、花を付けた枝、オーキッドなどが含まれた。ガラスでの試みも盛んに行い、多くのジュエリーに使用したが、これがガラス作家への転進につながり、1914年からはジュエリーでの創作も製作も止めている。