用語集

ファベルジェ、カール【ジュエラー/メゾン】

Fabergé

ロシアの歴史的かつ世界的に著名なジュエラー。芸術的で想像力あふれるゴールドやエナメル、宝石を駆使したクリエイションで知られるが、その中でも最も有名なイースター・エッグは、皇帝から皇后へのイースターの贈り物として1884年から製作が開始された。カール・ファベルジェ(1846-1920)は数箇所のヨーロッパの都市で修行を重ねた後、父親グスタフ(1814-81)が1842年に創立したジュエリーのメゾンに加わる。1870年にメゾンを引き継ぎ、弟のアガトンとともにビジネスを拡大した。国際的な名声を獲得するのは1900年のパリ万国博覧会の後だが、それ以降ロシア宮廷の他にもイギリスのエドワード7世を始め他のヨーロッパの王室のためにも製品を製作した。やがて支店がロンドンの他にも開設され、会社は500人の職人を抱えるまでに成長。ファベルジェ自身はゴールドスミスでもエナメラーでもなかったが、製品のクリエイションの監督に秀出ており、最も厳密なクラフツマンシップを要求し、石やエナメリング、セッティングのタイプの選択をコントロールした。ファベルジェ社の製品はタイプごとに専門化したワークショップで仕上げられ、多くの製品にマスター職人の個人のマークが刻印されている。それらはオブジェ・ダールが中心で、彫刻した動物や宝石で飾った花瓶に入った花などの実用的な製品が数多く製作された。またエナメルの様々な用法を十八番とし、プリカジュール・エナメルとギヨシェ・エナメルを施した様々な色の金属製品は、ヨーロッパのジュエラーも太刀打ちできないほどの卓越振りを見せた。1918年の革命の後、メゾンと工房を閉鎖されたファベルジェは、余儀なくスイスへと亡命しその地で没した。